■
――日本語のRoma字表記への私案:前説
和語5重表記の狂乱地獄 (新かな づかい)
◆和語オリジナル、 いわゆる ヤマトことば を表記するとき、
仮名文字では万全ではありません。
現状、もつとも容易なのは、ROMA字でしょう。
キリル文字やハングル文字でも 不可能ではありませんが、
日本人一般になじみがうすい。
不幸なことに、
奈良時代に、先進国から文物を移入するその時代、
わが日本は、近隣には、「唐」という国しか 選択肢がありませんでした。
もしも、ローマ帝国が その隣りにひかえていたら、
一も二もなく、Roma字を採用していたでしょう。
残念ながら、呪術用の記号からつくりだされた漢字にとらわれた
「唐」という国にしかなかったのです。
その大陸にあって、出没をくりかえした王朝は、
現代の共産党政府に至るまで、漢字の呪いに からみつかれたまま、
時代に翻弄されてきました。
〇漢字の呪いに氣づいた共産党政権は、
文字の改革(簡体字化)とともに、
発音記号として、Latin文字から勘案した Pinyinを創出している。
〇かつての漢字文化圏にあった Vietnam と Korea も
戦後になって、さっさと漢字をすてた。
漢字の本家も、Roma字を導入しているにもかかわらず、
日本だけが一人、後生大事に
「漢字仮名まじり表記法」をまもりつづけている、
この律義さ、無定見。 往生際のわるさ。
おもえば、
◆遣唐使の遣いとして、大洋にくりだした青年たちの
その勇気ある所業をおもえば、
とりいれた漢字のアリガタサ。 もったいなさに、
仇やおろそかに あつかうべからず。
しかし、残念なことに、
当時の遣唐使が、いくら優秀な人材を擁していたとしても、
漢字の読み(発音)を とりいれることまでは できなかった。
◆そのころの倭人は、
漢字の発音(よみ)を あらかた すてさり、
和語のオトにちかいコエで よみかえてしまったのである。
それゆへ、いまも和語における漢字のよみは、
きいても意味がわからず、もとの字が類推できない。
こういった状態が 千年以上もつづいてきております。
◇たとへば、
「観光」と「刊行」。
どちらも和式発音どおり、「かんこう」とカナでしるします。
しかしまた、
現行の日本では、[ kan-kou ]と発音されることは稀で、
「カンコー」と発音されるのが一般的である。
それはさておき、
観光と刊行であります。
まず、「観」と「刊」であるが、和語においては、
どちらも「kan」であるが、現中国においても、
2000年まえでも、発音はことなる。
おなじであっては、意味が通じない。
漢音にあっては、
「観」は 去声調で [ guan ]。
一方、「刊」は 平声調で [ kan ]である。
光は [平guang]。 行は [ 平xing] である。
まったく発音がちがう。
和語での漢字発音は、コトバの基本であるところの
コエ(発音)を完全に無視していて、テンとして はぢない。
これを、1000年以上もつづけて、
文科省からNHKまで、全国民がキクミミモタズのままである。
◆問題は、さらに深刻である。
日本語の文字表記の混乱が、
外国語習得にも不必要な障害をもたらしています。
この状態を、拙者は「和語5重表記の狂乱地獄」と称している。
○現行の、「漢字カナ交じり」表記。
音よみ・くんよみ、重箱よみ・湯桶よみ、
当て字ヨミ・判じヨミ、カタカナ英語、と
jargon よりもヒドイ奇形発音(ヨミ)が おこなわれている。
首相以下、日本国民の大多数が
漢字の識字率で、小学校levelである。
日本漢字能力検定協会のおこなう「漢字検定」の試験目的は、
ほとんど隠語化されている「よみ」の知識をためすtestでしかない。
AI が普及した直近未来では、
まっさきにおはらいバコ になるタグイの知識である。
公疫社団法人「日本漢字能力検定協会」は、さっさと
廃業なさるがヨロシイ。
○日本語文にもぐりこませた「片仮名」表記の外来語。
そして、
英語外来語のカタカナ表記である。
◇カナに準じた発音(よみ)、すなはち、
本家native speakerにも通じない発音を、
カナ文字で表記している。
ことに、LとR、Thの発音を表記することが かなわない。
以前にも 引用した
〽 レはレモンのレ~、 である。 ( ReはLemonのReぇ~)
今でも、 日本人がこれを歌っているのを見ると
ワタクシ、顔から火が 出そうになる。
◆中学生高校生が使用する大半の学習用英和辞典には、
カタカナの参考発音がついている。
本来ならば、 alphabet ( letter) をおそわる段階で
辞書出版における「カナ文字表記」を禁じないでいる。
出版社も商売である。
万国音標記号のみの辞書は うれないので、出版されない。
こうして、
英語の教育現場では、カナよみ発音、カタカナ発音が
まず、キッチリとすりこまれる。
🔴一部カタカナ標記を原音にちかづけたカナ標記で
近似の発音を提案する ヘンコツ英語猛者がいらっしゃる。
池谷裕二さんの『恐いくらい通じるカタカナ英語の法則』
[ 講談社BLUEBACKS Y960 ] 2016.10初版
がそれです。
ワタクシの申し上げている
「和語5重表記の狂乱地獄」が、 まだ足りなくて、
さらにもう一つ、 ふやそうというコンタン。
各単語の発音を、独自のカタカナ表記であらわし、
そう発音することで、
Nativeの発音にちかづけようという提案です。
たとえば、
“I am getting off.” の ”アイ アム ゲッティング オフ。“を
“ アイムゲリンガフ ”
というふうによみかえるワケです。
これって、かなりシンドクありません?
なにしろ、何万とある 英作文のヨミの
その作文phraseごとに、 カタカナ発音の読み替えを
恐ろしいくらい 沢山しなければならない、 なんて。
地獄が もう一つふえるだけだ というユエンです。
Phonics と Prosody を ちゃんとやればすむことでした。
以下、日本語のRoma字表記は、次回blogにて。