あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

間に合わせ文化の「ガラパゴス日本」と日本語

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◆生活道路にみる うつくしい電線網◆

間に合はせ文化の根源としての
「漢字カナ混じり文」日本語表記

日本文化の根幹をなす性質は、
現代日本の様々な事象に認めることができます。
21世紀になつてもなほ、
電信柱の大半が、路側帯につつたつてゐます。
世界でもつとも地震のおおい国であるにもかかはらず、
世界有数の経済大国と呼ばれるてゐるにもかかはらず、
電流配線を地下化してをりません。
明治維新のとき、西洋文明技術を移入するにあたつて、
とりあへずの間に合はせとして、電柱による送電線の敷設を
全国的に実施したのであります。

「とりあへずの間に合わせ」の 直近の事例としては、
原発再稼働を含むエネルギー政策がそれです。

フクイチの原発事故がなくとも、
廃炉期限が切れてゐる原発をだうするのか?
いつまで「トイレのないマンシヨン」を放置するのか?
政治行政はアソビではないのだから「ホウチぷれい」は
即刻やめてもらひたい。
この「放置」こそが、「問題サキオクリ」の 別称であります。
ここに至るその根底には「とりあへずの間に合わせ」としての
エネルギー政策がありました。
先の衆議院議員選挙でも、自民党公明党はこの Issue を争点にしませんでした。
現政権の保守する姿勢は、帝国参謀本部同様、
「問題サキオクリ」が伝統となつてをりますから、
争点になぞできないコトでありました。

■漢字導入の悲しいヤマト文明
文字をもたなかつた辺境の島民
圧倒的文明の大陸中国の文字表記を
受け入れるしかなかつたヤマト文明は
その文字がヤマトコトバの音声表記に
まつたく合理性がないことに
思ひいたりませんでした。
ま、仕方がなかつたといへば、
いへなくもありませぬ。
もし、当時の日本列島のそばにローマ帝国があつたなら、
ヤマトコトバは、ラテン文字をすんなり受け入れて、
純粋なヤマトコトバだけの文化が発展してゐたでありませう。

しかし、乗りこんでしまつた舟です。
とにかくこれで、なんとかやりくりせねばなりません。
さいはひ、仏教伝来とともに、
強固な身分制が、ゆるく蔓延することとなつた日本社会にあつて、
支配階級にのみ流通する文字文化は、マツリゴトには都合がよろしい。
念仏仏教が象徴するやうに、宮中のオンナコドモはもとより中下層民は文盲であるがため、政治法律宗教について、モノをしるスベがありません。
漢籍文献を教本に、都市部中間層の子弟が素読学習しだすのは、江戸中期になつてからであります。

明治の御維新(ゴイツシン)のあと、
文芸の社会では、言文一致運動がすすめられましたが、
「漢字仮名まじり文」における 音訓よみの整理は、ついぞおこなはれませんでした。
いな、それ以上の「もじりよみ」や判じ読みが横行する仕儀となつてしまいました。
夏目漱石が使用した「五月蝿い」のウルサイなどが、その典型であります。

「漢字仮名まじり文」における最大のモンダイは、同音異義語が、おほすぎるーーといふ点であります。