あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

ROMA-Ji de KaiShou(解消) sareru NiHongGo(日本語) no HiKiGeki(悲喜劇)

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Kusa Fuji (May 3.)

◆明治の文明開化の時代、欧米の文物学問を移入しやうとしたとき、翻訳のコトバに、たちまちこまつた。
神國ニツポンの、貧弱なやまとコトバでは、到底対応できないことが、にはかにしてわかる。
そこで、長年なじんでゐた漢字をつかつて、だうにか かうにか苦心惨憺して翻訳用語をあみだしたのであつた。


現在、日本の国内では、
欧米由来の学問・技術・文芸など、さまざまな分野の文字情報(文献)を、日本語でよめるといふのは、けだし、
明治時代の先人の努力の賜物である。
ちなみに、20世紀に独立をはたしたアジア・アフリカの国々では、学校教育でつかふ書籍は、旧宗主国の言語(文字)で印刷されてゐる。あるいは、旧宗主国で出版されてゐる書物を そのままつかつてゐる。

つまり、
わがくにニツポンだけが、ヨーロツパ近代の言語を、自国語(とおもひなした)コトバで翻訳して移入することができた(と思つてゐる)。実際のところは、漢字語を「てにをは」でつないだ折衷やまとコトバなのである。

だが、
この、漢字語による訳語をコネクリだしたセイで、本来むづかしくも何ともない単語・用語が えらくむづかしい外観をよそほふことになつた。
おもに、漢字2字あるいは3字の熟語をあみだし、仏独英のコトバに対する訳語として、これら漢字語をあてはめたのである。

哲学、経済、法律、政治、教育、科学、権理(利)、自由、資本、軍事、小説、主義、行政、論理、費用、宗教、防衛、鉄道、情操、国家、形而上、革命、金融、芸術、原子、文学、交通、人民、歴史、放送、性質、勢力、••••••••••••••。
何千何万といふ漢字語が、いま 日本で流通してゐる。

これらの訳語は、しかし、
本家の用語とは、意味概念がピタリとあはせかさなるか といふと、
それは まつたくちがふ。もし、原語と訳語が、寸分たがはぬ意味背景をもつてゐると
おもふ御仁がゐらつしやれば、それは オヒトヨシといふもの。
それゆへ、
日本人のおほかたは、オヒトヨシなのでした。
この問題点の深刻さを 日本語の学者専門家は、理解していない。
ヤマト朝廷の時代に、漢字をとりいれたのと同様に アルフアベツト文字をそのまま とりいれたらよかつたのに、さうしなかつた。
たとへば、英語なら、
大文字小文字で、52字。活字印刷にそへるヤクモノ記号が 約20。
漢字にくらべれば、それほど大した分量ではないにもかかはらず、
いれやうとはしなかつた。

翻訳とは反訳。
たとへば、
ballast といふ用語がある。
英和辞典では、
船の「底荷」とか「脚荷(あしに)」とか、の訳語がのつてゐるが、
この脚荷なる訳語は、国語辞典にはのつてゐない場合がある。
漢和辞典の「脚」の項や「荷」の項でも、
熟語として記載されてゐない。
英文和訳の世界のみでつかはれる「反訳専門用語」なのである。
そこで、一般の英和辞典では、
上記の訳語以外に、
バラスト」「バラス」などと、ワザワザ、カタカタで記載してゐる辞書もある。

ヤマトコトバの文字をもたなかつた時代に、
音韻体系がまつたくちがふ言語の表記文字をムリやりねじこんだ、
その無理がたたつて
苦心惨憺の挙句、「漢字仮名まじり文」に逢着したのでありましたが、
こんな状況は、航海術の世界では座礁と同じです。

にもかかはらず、
明治維新のときに、きはめて簡単な歐文文字をとりいれもせずに、
面妖なる翻訳語をこしらへあげて、訳語を大量生産してしまつた。

ところが、事態はさらに惡化する。
戦後、日本はアメリカの文物を大量にとりいれるコトにあひなる。
当座は、明治以来の訳語をこねくりまはしてをりましたが、
新しい用語が、どんどんはいつてくると、
訳語の創作が面倒になり、カタカナ表記でゴマかすやうになる。
歐文文字をそのまま導入すれば、子音母音の區別もハツキリするといふのに、
これを、カタカナで表記してしまつたのが、日本語世界の現状であります。
子音母音の區別ができないカナ表記では、
世界の言語を理解することができません。
漢字をとりいれたときとおなじやうに、
ローマ字をとりいれたら、はるかに意味明瞭なる文章が書けたでせうに。
いな、
まだ まにあひます。
今からでも遅くありません。
「漢字仮名まじり文」でつかはれてゐる反訳語のすべてを、
原語(英語)のまま アルファベット表記におきかへればいいのです。
その際、ナガネン採用されてきた ベタ書きを、わかちがきにします。

それではまた。