あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

日本人のザンネンな言語環境:連載22 悪魔の言語

☆政府の、経済政策を含めた「骨太の方針」の中に、少子化対策の一環として、「女性手帳」の導入が検討されていると報じられていますが、
これについてネットでの書き込みでは、批判が噴出してますな。
付随した政策を無視して騒いでいる観も無きにしも非ず、ではありますが、
いずれにしても、先進諸国のなかでも労働生産性が極度に低い日本で
「オトコは仕事。妻は家庭」のスローガンを支持する国民が多数にのぼる国ですから、これからもドンドン少子化が進むでしょう。 目出度しメデタシ。
それはさておき。

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◎文法から入る弊害。
前出の、ファンクション・メソッド英語研究会の中嶋太一郎さんが述べたのを再録、

Charles Talbut Onionsが、1904年に公表した8品詞5文型の文法理論を、日本の英語学会だけが、今もなお採用し続けている、という問題がありました。
各国語の文法理論には、それぞれ細かい異説論争があって、英語においても諸説があります。
英語の文章には5文型に収まらない文もあるので、Onionsの文法理論では、それらを例外扱いしています。

○そんな、不十分な理論でありながら、日本の教育界ではこの理論を基にした英語教育を行なってきましたし、しています。
そして更に、言語学の基本中の基本、
「コトバは音声によって表現される」
ということが、日本人全体に了解されていません。
その最大の原因は、昔から流通している日本語文の表記法にあります。
フランシスコ・ザビエルが悪魔のコトバと読んだ、日本語の表記法であります。

◎漢字カナ混じりの文章表記はタダでさえ複雑なのに、音読み訓読み・重箱読み湯桶読みなど、野放図な用語用字法がまかり通っているばかりか、送り仮名に決まりがなく、国語としての正書法がありません。
であるにもかかわらず、毎日の生活の中で「不便を不便と感じない、これが当たり前である」とする、固定観念がまかりとおっています。勢い余って「美しい日本語」などと公言する識者文学者も出る始末。
○ラジオのアナウンスを耳にすれば分かります。
「イインカイは、シアン、こころみのアンをテイシュツしました」
「あてさきは、イチゴウゼロのハチゼロゼロイチ、しぶやク・ジンナンジンナンはかみさまのみなみ、エネエチケーのラジオあさイチバン」
などと言わなければなりません。
世界広しといえど日本だけです。
(ハングル文字と少しの漢字を併用する韓国語では、日本語表記のような混乱は全くありません。)

◎外国語習得の基本は、まず音声の聴き取りから、というのが常識なのですが、日本だけが官民挙げて読み書き第一なのです。それは、漢字カナ混じりの表記法を採っている日本語の性質上、聞いただけでは「意味」がわからないコトバ単語が日本語には多数あるので、
英文の意味を捉えるとき、翻訳した漢字語は、目で見ないと意味がわからない、という感覚があるからでした。
鎖国頭の和式英語」を支える、世界でも稀な要因であります。
こうして、ザンネン族の方々も、テキストにのった英文を読んで、カタカナ発音の練習を続けてゆくのでした。
♪♪ おあとがヨロシイようで.......