あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E28/文法必要派にダマされる日本人ザンネン派。

/もはや定説のように言われている、エビングハウス忘却曲線仮説。
○実際のところ、確立された実験法もなく、有意のデータも乏しいのですが、おおむね参考になると解釈されています。彼の理論仮説を追試する学者で、めざましい成果を挙げた学者もいないようですが。
○すなわち、エビングハウス自身の行った実験では、3文字の無意味な単語(文字列)を聞いたあとの、忘却率を集計した数字が、理論の前提となっているのです。
外国語の学習や会話能習得においては、無意味な単語を反復練習することはないので、エビングハウスの実験は、語学に取り組んでいるモノにとって、あまり意味があるとは思えません。英会話練習では、具体的な場面に応じた文章を多く覚えるのが、主たる方法ですから。
○記憶の様態には3種あるといわれています。
短期記憶、手続き記憶、長期記憶の三つです。外国語の机上学習では、復習をしない限り、短期記憶で終わるのは、すでに全ての日本人が身を以て実証済みです。
○日本の中高大で学ぶ英語は、机上学習(座学)の典型です。
一方、和文英訳とは全く違う技能としての会話能は、手続き記憶の積み重ねでしか銘記されません。いわゆる運動技能と同様に、繰り返し練習することによってしか、身につかないのです。
○文脈から離れた単語の意味と、実際的な意味のない文を例とした文法パターンを暗記・長期記憶できたとしても、実際の場面では役に立ちません。
○英会話分野で、仕事をなさっている方々の中には、未だに、
「会話をするにも、文法の知識がなければ、ちゃんとしゃべれない」と主張なさっているセンセさまがかなりいらっしゃいます。
○そもそも、コトバとは何か、という「言語学」の大前提を無視しながら外国語の習得法について議論なさるのは、そろそろお辞めになって頂きたい。
○困ったコトに、
こういった文法必要派のセンセ方も、一応、英語の会話はもとより、読み書きもタッシャなモノなんですヨネ。苦労をなさった経験もおありらしいのですが、
日本語がかかえる世界で唯一の条件を忖度せずに、会話能習得法を説いても仕方ありません。日本語を身につけた日本人が、外国語会話に取りかかる障壁から、目をそむけてはなりません。