あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E29/日本人のザンネンな言語環境:

連載29「日常生活即訓練」の理(コトワリ)
☆英会話のみならず、
あらゆる技芸・知識・技能を身につけるには、集中的慣習活動が、一定の期間必要です。いわゆるナラシ練習です。
◎「日常生活の中で日々くりかえししている言動が、そのまま(その作業能力の)維持練習になっているコト」に氣づくヒトは、きわめて少のうございます。
油彩写実画で例えますと、
筆かざしでスケッチをとり、ナイフで混色・色合せ。この練習をせずに、ひたすらコスリまくりの上の空。コトバ邪念でウシロ向き、といった手枷足枷の練習を、週に二三回やる、というのが、万年初心者の典型であります。実像が見えてきません。

○語学で例えますと、
毎日、母語と比べて、どのくらい多くナラシ練習しているか?
日本人は毎日ニホンゴで生活していますが、
「この日常作業が、身につけた日本語を日々メンテナンス維持しているコトだ」と氣づくヒトは、ほとんどいません。
🇷🇺15年ほど前だったか、旧ソビエト極東ロシアに抑留したままだった元日本軍兵士が80才になって日本に帰ろうとした時、ほとんど日本語を忘れていたと報じられたことがあります。彼は、現地にあってロシア女性と結婚もし、社会に溶け込んでいたので、日本語をしゃべる機会は皆無だったのです。それユエ、彼はロシア語を身につけ、日本語を忘れてしまったのです。

○日本人の9割りに英語はいらない、というのは掛け値なしの真実ですが、
ザンネン派の方々が、いろいろな教材に手を出し、英会話教室に通っていらっしゃりながら、一向に上達しない。
その、自分のベンキョーしている時間が無為にすぎていく現実に、大した疑問も不安も感じません。
○当たり前です。英語が、ただ今その場で必要ないからです、しゃべれなくても困らないからです。
○極東ロシアの抑留兵士は、ロシア語がしゃべれなければ、たちまち生活に困るのでした。
当時も今も、サハリンの辺境地域に日本人向けのロシア語会話教室があるワケでもなし、はじめはチンプンカンプンでも、一年もすれば聞き取りもでき、しゃべれるようになったのです。

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アメリカのドイナカに単身放りこまれた交換留学高校生とまったく同じです。元大蔵(現財務省)官僚の榊原英資さんがその代表例でしょう。現地校で、半年たっても授業の英語についていけなかったエイスケ君は、先生から「英和辞典を捨てて英英辞典を使え」と言われます。するとほどなく、英語が聞きとれるようになり、長じて、アメリカの大学に再留学したときには、英語でディベートが難なくできるようになっていた、とさ。

○ツマリ、成毛シャチョーのおっしゃる裏の意味は、
イラナイ族のミナサマが、テキトーな時間カタテマのベンキョーをいくらやっても、不必要な会話能が身につくことはない、
という当たり前のコトであります。すなわち、成毛シャチョーに言われるまでもなく、
◎必要のないヒトには、
身につかない程度のベンキョーしか、やる氣がおきないのでした。
そのまま、楽しい日々が過ぎてゆきます。そして、
英語を使う時間より日本語を使う時間の方が多いので、
毎日、日本語のメンテナンスはキチンと続けても、英語を使う時間は圧倒的に少ないので、決して英会話能は身につかないママです。日本語がナラシ練習されます。

○身につかないコトを確認するために、わずかな時間とは言え、ムダに過ごすのは、マコトにもったいない。残り少ない人生、もっと有意義なことに使えばヨロシイのに…とザンネンにおもう今日コノゴロですが、
◆ゴ当人に、いっかな踏ん切りがつかないのは、
自分のあこがれ信じていたコトが、ユメまぼろしであったと認めるのは、身を切るよりもつらいのでショウ。カルト宗教にとりつかれ、マインドコントロールが解けない信者とおなじ心境です。
ツマリ、自分のおかれている客観的状況の方がユメまぼろしで、
必要でないモノを「必要なモノだ」と信じたいのです。
ココに英会話教室や教材メーカーのメシのタネがあるワケであります。いうなれば「英会話霊感商法」!!!
信じるモノは身につかない、の一席でございました。