あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E82/ 英会話!日本人のザンネンな言語環境:連載

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英語教育についての政策論議が一部の識者の間でカマビスしい、ですね。すでに小学校で英語に親しむ時間がカリキュラムに押し込まれているので、中学に進学してから英語嫌いになりはしないか、危惧するムキもあります。

一方、国民の大半は、英語の必要性を全く感じていません。
成毛眞シャチョーの御本『日本人の9割りに英語はいらない』に言われるまでもなく、
大半の日本人は、
実生活の中で、英語の必要性をケほども感じておりませんな。
なのに、英会話学校の広告が目について、うるさく思うのはワタクシだけでしょうか?
どの無料サイトを覗いても、メルマガ勧誘、音声教材の広告がはりついています。新聞紙面や電車内には英会話学校の広告が年中掲示されています。
その広告費たるや、大変な額に登るでしょうに、
英会話学校や教材メーカーが存続し続けているのを見ると、入学購買するカモが引も切らないのでしょう。
そうです。
英会話学校の林立やTOEIC・英検などの英語資格ブームは、新興宗教の隆盛とよく似ています。英語ブームもカルト新興宗教の林立も、日本独特の社会的背景をもっていると言えます。

昭和の時代に英語教育を受けた世代は、受験英語というものに立ち向かわざるを得なかった。そこでは、英文和訳と和文英訳の方法論が目的化されていたため、英語での会話などは夢のまた夢、
大学を卒業しても、喋れる者は1000人に1人?、いな1万人に1人いるかいないかの惨状で。
英語圏の大学に留学したアジア系の大卒エリートの中で、いまだに日本人だけが、唯一の英語難民であります。
➡︎アジア系;中国人、韓国人、マレーシア人、インド人、タイ人、パキスタン人などなど。
この間の現状に触れたのが、
斎藤淳先生の
『世界の非ネイティブエリートがやっている英語勉強法』(カドカワブック)
です。
日本のエリートですら少しもシャベレないという英語オンチぶりは、ガラパゴス日本の面目躍如たるトコロであります。
斎藤先生は、その原因の一つとして、
「外国語を、日本語に訳して勉強するトコロにあり」
となさってます。
これは、しかし、
今まで少数ながら、日本人の「英語の達人」が訴えていたことでもあります。

高校生のときにアメリカのド田舎の高校に留学した榊原英資さんしかり。(『日本人はなぜ国際人になれないのか』参照)

『どんどん喋れる【右脳】英会話』(品川嘉也、池田和子著/青春出版社・青春文庫1998.5.20)のp.26~には
「文法を捨てなければ話せるわけがない」とあります。

ただ、大半の英語教育者や英会話専門家をはじめ、
中学高校と受験英語でイジメられてきた大部分の日本人も
「英語は日本語に訳さないと、意味が分からない」と、
頑迷に信じ込んでいます。
ワタクシのブログに、書き込みをして下さる方も、
例の、山本大氏の御本に賛同なさいます。
ことほど左様に、日本語による英語教育の弊害は、しっかりと定着しております。
ですから、
ネットの書籍ショッピングSITEを覗いても、本屋の英語関連の書棚を見ても、
いまだに、
「基礎的文法の理解」度と「英単語の日本語での意味理解」度が日本式英語力の指標になっているのです。
英会話教室に通うのに、電子辞書をもって行くのはいいのですが、
引く辞書は、英和辞典と和英辞典であります。
英英辞典を覗くことはメッタにありません。

モチロン、現状の日本の公教育でダイレクト・メソッドは採用できませんから、
事態に変化はありません。
文科省は、諸外国の中等教育で、どういう外国語教育をしているのか、
調べてもいないようです。
あるいはまた、日本の御役所のことですから、
調べても「その実態やデーター」を国民には教えないのかも知れません。

またしかし、現状がそうであっても、
9割の日本人は、何の痛痒も感じません。
大手企業で、TOEICの成績が人事考課の指標の一つになっていても、
余所の国のハナシのように聞き流しております。
だいたいやね~、日本の営利企業法人のうち、
大企業と呼ばれるのは全体の1パーセントしかないのですから、
99パーセントの法人に勤めるモンは、TOEIC 必要ないんですわ。