あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

日本人のザンネンな言語環境:連載 4

成毛眞シャチョーの「バカ」ツッコミが秀逸です。

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この本の著者も、中学高校大学と英語に苦しめられたハズですが、その学校英語の知識を実社会で使う機会はなかったワケです。
もともと実用性のない学校英語ですから、使う機会がなくてもいいのですが、では、英会話教室や語学留学に大金を投じるヒトは、何を求めているのでしょうか? 学校英語ではダメだったので、ネイティブ・スピーカに発音から教えてもらおう、というアタリが一番の動機ですかな?
でも、どちら様もご存知のように、何年やっても大した成果はあがりません。
だいたい、コトバのコミニケーションでは、ヒヤリングが最も大事なんですが、日本人はナチュラル・スピードの英語音を聞き取れない。
国内の英会話教室のベテラン先生は、そんな生徒のために、あり得ないユックリさで発音してくれます。
もう、これで実用レベルの英語ではないのですが、生徒の側は文句クレームはつけません。つけないどころか、自分の上達した状態にマンザラでもないと、誤解してるみたいです。
そして、勇躍 海外旅行に行ったところが、全く聞き取れない。がく然として、ここで更に誤解の上塗り、「私には語学の才能がないんだ」と、世界一複雑な表記をする日本語で思いこむのでした。

日本国内には、学校英語擁護派がバッコしているものの、また一方で、ヒヤリングの教材音源が多数手に入ります。
英語についての情報は、これまた、ゴマンとあります。
この10年ほどの間に、携帯電話やスマートフォンを通じてネットにアクセスできるようになり、文字情報だけでなくオリジナルの音声もコピーできます。
もう、情報革命が爆発してますが、英会話教室に通いつづけるザンネンな人達は、こういう便利でお安い材料には見向きもしません。
例えば、私、Twitterの案内情報をもらうと、広告がくっついてきますよね。
こんなのがあります。
『→Yoshi
具体的にいうと、私が行ったのは以下の3ステップです。
○繰り返し現れるフレーズ(決まり文句)を書きとる
○その意味を辞書で調べ、フレーズ全体のイメージを覚える
○発音してみる
たったこの3ステップを繰り返しただけで、最初はカタコトの英語だった私が
その学習を初めてから27日後にはネイティブと普通に話せるようになっていたのです。
話せるようになってから、スティーブに日本の教材を見せると、「こんな英語は使わない」と言われ、
「そんなもので勉強していたのか」とものすごいショックを受けました。
もしかしてあなたはこんな英語フレーズを使ってますか?
例えばあいさつ。How are you?が一般的ですが、
この返答でI'm fine thank you, and you?という答えをするネイティブを私は一人も見たことがありません。』

以上、広告サイトの一部ですが、
日本国内で運営している英語情報サイトは勿論、海外のサイトにアクセスすれば、その日の事件ニュースに直接触れることができます。YouTubeに至っては、世界中の音声画像(動画)にアクセスできます。
これって、すごいことじゃないですか?!!
だのに、「イラナイ族」英語難民の方々は、見向きもしません。というのも、
こういうザンネンな方々は、
・成人の記憶力(記憶のメカニズム)や学習法に対する誤解があります。
・学生時代に植え付けられた強い先入観が、手かせ足かせとなっています。

カタカナ発音を刷り込んだ臨界期のあとは、英語音声に対する音感や、発音技能に個人差が現れます。
大半の日本人の耳は、
世界で唯一、日本(語)の特殊事情に絡め捕られていて、音感がかなり弱い。
「日本では漢字で考える習慣が定着してしまったから、日本人、とりわけ教養人は、こうしたオトだけのむき出しの、ほんもののことばに出会う能力をなかば失ってしまっているのである。いな、日本文化全体がオトに対しては回復不能なくらいに力を失ってしまっているのであるから、外国語が身につかないのも、いわば当然のことである。」田中克彦言語学とは何か』岩波新書
ま、腑に落ちる指摘ではあります。
これを、漢字語で言い替えますと「音声への純粋感覚を妨げる母語干渉」ということになりますかな。
更に見てゆきますと、
カタカナ表記が英語本来の文字表記と齟齬をきたす例!
ペギー葉山訳詩の「ドレミの唄」から
<:ドレミは、もともとイタリアの音階名。do,re,mi…と表記するが、日本語版ミュージカルの劇中で唄われる「ドレミの唄」で、
「🎵ドはドーナツのド。レはレモンのレ~」と唄われる。
後の部分をアルファベット表記すると、「re wa lemon no re」となってしまう。発音のみならず、文字の上でもLとRの区別ができない日本人。
音感の悪さの例は、日常の身の回りにもあります。
*食事中の咀嚼音。スープ麺類の吸い込み音。
*公共の場、交通機関などで流すアナウンス。「携帯電話の電源をきれ」と実効性のないお願い。録音された様々なアナウンスが流れているが、ほとんど無意味。ただ、やかましいだけ。
*茶席(茶の湯)で音を出す!作法。
*くしゃみ、ウガイでの母音発声に無頓着な日本人。
まあ、日本人は、骨の髄から耳が悪いようであります。