あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

日本人のザンネンな言語環境:連載 5

承前)……
日本人にして9割りの「イラナイ族」の方でも、実は、難民キャンプを脱出する方法「出口」があります。
でも「イラナイ族」の皆さまは、そちらの方には背を向けたままです。必要でもないし、ことさらENGLISH Worldに強烈な興味をもっているワケでじゃないですもん。
であるからこそ英語難民「イラナイ族」のままでいらっしゃるのです。
◎もうすでに「読み・書き・文法・聞き・話す」の順序で学校英語を仕込まれている方は、染められた脳から学校英語を洗い落とすのに、かなりシンドイ努力が要ります。「洗脳」といいます。
これができる人は、日本人の中でも100人の内に一人いらっしゃるかどうか。

イメージ 1

日本人の英語耳の問題について厳しく追及した新旧2つの本。左は、初版1979年11月、グレゴリ・ストリカーズ著/英友社発刊。 右が、フォレスト出版・2012年2月初版、藤永丈志・著の「英語における音便(変化)」について述べた冊子。

◎一割の「イル族」でも、発話能(話題を振り、会話を続ける自然な語力)はともかく、ヒヤリングがイマイチです。
もうこれは仕方がありません。毎日の生活の中で、慣れていくしかないのです。(後述、次回)

◎かく言う私も、英語耳はまだおぼつかないレベルではあります。
でも、発音はかなりいいです。チョイ自信あります。
かつて、英会話学校で教えているアメリカ人が彼の個人的教材として使うテープを自前で作る。そこで、手伝ってほしいというので、会話スキットを30分ほど吹き込んだことがあります。
彼と英語で話していた間に、他の者ではなく、こいつなら「マッいいか」と思われたのでしょうな。
アルバイトではなく、彼の自宅で夕食をご馳走になっただけですが……。 ジョン、キム!あの時は、ありがとう!

◎文法から入る弊害。
ファンクション・メソッド英語研究会の中嶋太一郎さんによると、
本の学校英語の基礎にある「五文型理論」は20世紀初頭にイギリスの言語学者が発表したものだそうで、今ではどこの国でも採用されていない理論だそうです。
Chrles Talbut Onionsが、1904年に公表した8品詞5文型の文法理論を、どういうワケか日本の英語学会(と文部省)だけが、今もなお採用し続けているのです。
◎外国語習得の基本は、まず音声の聴き取りから、というのが常識なのですが、日本だけが官民挙げて読み書き第一なのです。
こういった日本のガラパゴス的な言語教育のあり方を、「鎖国アタマの外国語学」と呼んでおきます。
(以下次号)