あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E33/ 日本人のザンネンな言語環境:連載☆無惨なるカンチガイ。

from National Geographic USA-site.
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Biggest Supermoon of 2013.
Only two days after the solstice, in the early morning hours of Sunday, June 23, the moon will officially reach its full phase and will be the closest (356,990 kilometers or 221,823 miles) and largest ‘supermoon’ of the year.

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○"solstice"は、この記事の場合「夏至」のコト。23日をはさむ前後3日間(20~26日)は日本を含む世界各地・地震多発地域では、大地震に要注意です。

◎さて、「英会話の正体」の第2章ですが、
タイトルは「英会話 vs 英聞話」
英会話のクラスでは、受講者のほとんどが、講師や他の受講者の発言を聞いているだけで、自分から発言するのは5分もない、とおっしゃる。
○まことに、その通りであります。英会話教室に通ったり、音声教材でリスニング練習をなさるミナサマは、実際のところ、スピーキング練習に移らずに、ベンキョーをやめてしまうのです。
ここでの山本センセのハナシは、こまかいところにこだわらなければ、おおむね賛成できます。ですので、早いですが、

○「リスニングの三大要素」と題された第3章に移ります。
実は、この御本の、根本的欠陥がはっきりと記されている重要な章です。
他人さまに「コトバの使い方や、外国語を教える」などというオシゴトをなさっておられる方が、自分の専門領域の基本的な知識を持たない、という惨状が暴露されています。
どうしたコトでしょう?
その、重大なアヤマチを、みずから提示なさっている箇所を引用します。↓

「つまり、リスニング ー聴解ー における問題点は音声化されたセンテンスが文字化されて書かれた場合、それを容易に理解できるものであるかどうかということです。文字化されたセンテンスを読んでそれを理解できない場合、(略)それが音声化されて耳で聴いたところで、即座に理解できる道理がありません。何回聴いてもわかるわけはないのです。

として、そのあと、10本の英文を例示して、

「それらの表現が音声化されて流れて来た場合に、あなたの耳はそれをとらえて、瞬時に、正確にその意味を理解するでしょうか?」

と、鼻息あらく問いかけてこられます。

まことにザンネンです。
あまたある英会話本の中で、特筆大書すべきトンデモ本である、その証拠が上の文でありました。
「文字化されたセンテンスを読んでそれを理解できない場合、(略)それが音声化されて耳で聴いたところで、即座に理解できる道理がありません」←パッと見、思わず納得してしまう言い回しですが、
何をいっているのか意味不明であります。
○並の知能をもった人が
「文字化されたセンテンスを読んでそれを理解できない場合」は、その文が理解を絶したナンセンス文なのでしょう。
○「それが音声化されて耳で聴いたところで、即座に理解できる道理は」ハナからありません。
「何回聴いてもわかるわけはないのです」って、自分でふったネタに納得して、念押しするなんて、
堂々巡り循環論。
こんな屁理屈をコネクリ回して、山本センセ、何を証明したかったのでしょうか?

言語学の基本のABC。
●コトバは音声である。
山本センセは、この基本をご存知なかったようです。
全ての文字は、その音声(言語)を記す発音記号であります。
ただ唯一、日本語が、漢字カナ混じり表記として文字表記の原則を外している稀有な言語であります。
中国の漢字を、日本人は表意文字だと聞かされていますが、漢字一文字の中にも(例外はあるものの)発音記号としての文字(ツクリ)がくっついています。漢字語を写したハングル文字も、漢字一字に一つの音が対応しています。日本語のように、一つの漢字に音読み訓読み五つも六つも読み替えする言語は、世界中どこにもありません。
まさに日本語は、言語世界のガラパゴス奇種。
その特異な性質に目をふさがれて、外国語習得の際に、入口でもない架空道に足を向けたのが、
山本大センセだったのです。