あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E40/ 日本人のザンネンな言語環境:連載 >練習の必要性

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「英会話の正体」をつづけます。9章のつぎ、

10章「一本釣りの練習」では、、
「『使えるセンテンスを自分のものにする』ために、各自、自分用のセンテンスを集めて練習しろ」とのお勧めです。方向性としては、これはこれでただしいです。
しか~し、
○地の文の行数にして、ほぼ1ページの、この本でもっとも短い章ですが、
ここにも、山本センセのクセがさりげなく こすりつけられております。
54ページ、最後の行から、
「一本釣りの対象となるセンテンスを探す際には、実際に使いそうな表現というのが第一条件ですが、その他の重要なポイントは、センテンスの長さがあり、構文が歯ごたえのある表現に挑戦する、ことです。」
○重要なポイントが「長さ」「構文が歯ごたえのある表現」
です。
さすが翻訳の専門家!!!
短い文章、字数語数の少ない文章では、行数を稼げませんからね??
って、このゴ本は、英会話能の習得法の本だったハズ!

○文の長さが、英会話の重要なポイントだとは、ハツミミでした。
この点では、
英米の実際の言語環境に身をおいて、そのなかから実用的なフレーズをピックアップし、毎日メルマガ配信してくれる「Yoshiさん」の講座の方が、より実際的だと思います。つまり、7words以下のフレーズで、日本の英語(会話)の教科書テキストにはのっていないような、ナマのフレーズには、
長さは必要ないですよね! むしろジャマでしょう。文章はできるだけ短く!
これが、万国共通のコミニケーション術の基本です。

◯そして、次の章。11章「壁打ち・素振りの練習をせよ!」にも、センセの長文優先の営業感覚が強くあらわれております。
p.56下段から次頁、
「壁打ち・素振りとなると、それじゃ、どんなセンテンスを壁打ち・素振りしたらいいですか、と質問が来そうですが、前の章でも言及しましたが、それはご自分でお探しください、というのが、この本の原稿を書きながら行者の心境になっている本物志向の筆者の冷たい答えです(笑)。」
とあります。もう、センセは本物志向の「行者」なんですね~。「業者」とまちがえそうになります。
○チャチャいれはともかく、この文章のあと、次頁から、英語の例文がニギニギしく列挙サービスされておりますが、
この「英会話の正体」の特異な性格の一面が、ここでも見てとれます。
p.58、p.59。各例文ごとにword数が示されてあるのです。
つまり、御説ゴモットモの「いかに長い文章が大事か」という姿勢を、キッチリ数で示そうという心意気が現れております。2頁にわたって30項目の参考文がしめされておりますが、一文ではなく、2つ3つの文でひとまとまりの話題、という項もあります。
ただ、10語をこえる長い文章だけではなく、ハナシの内容から(やむなく?)5~7語ほどの短い文章もあります。5語の10番、4語+5語の15番、6語の8番12番、7語の4番5番がそれです。
もっとも長い文章は、19番の34語。二つのセンテンスで6語+24語の20番が秀逸でしょう。
そして、サービス満点、つづくp.60とp.61には、英文例の翻訳和文がすべて掲載されておるのです。
○よくよく読んでみれば、英文のシラブル(音節)数にくらべ、和文のシラブル数の方が、各文とも、2~4割おおいのでありました。
8章「英語は本当に速いのか?」で述べられておりました「英文と和文は読みくだせばおなじスピード」という珍説を逆証明している実例を、センセみづから提示なさっておられるのです。おそれいります。