あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E72/EIKAIWA ; Japanese poor environment on languages learning ;serial comment.

「9割りの日本人には英語はいらない」にもかかわらず、
このガラパゴス日本では、
今も、多くの英語(会話)本が市販されています。
ただ、これらの本(教材)にはそれぞれ特徴・傾向があって、
おおむね3つのレベル傾向に分類できると思います。

A.一つは、高度な読み書きの能力を必要とする、総合的な英語力を目指すレベルの本。英検やTOEICTOEFLなどの資格系の能力をつけるためのもので、試験対策の攻略本が主流です。文法・スペル・単語の正確さが厳密に要求されます。
留学先のゼミで困らない程度の英語力や、英語を使う職場で必要な読み書きの能力が
求められていることが前提です。

B. 二つ目は、大学の英語学者や通訳ガイド・翻訳・同時通訳などの専門家が書いたもので、専門分野で使える英会話能を目指す高レベルの本です。
日常の会話を目標にしているように謳いながら、英文和訳・和文英訳のテクニックをふまえて、
会話の最中に英語を日本語に訳し、日本語で考えたことを英語に訳しながら発話する文型練習が主眼となっています。
当然、英文法による説明が中心になります。
脳神経学、言語学教育心理学を無視して、「英語で考えるのは不可能」と主張する方々のやり方で、英会話本の中で最も多いタイプの本です。

C. 三つ目は、ヒヤリングを出発点に、各自が知っている単語を使い回して、最低限のコミニケーションを図ろうと工夫する、その方法・例文を指導する本です。
当然、初期段階では文法に全く触れず、いろんな言い回しの表現例・熟語を示し、ボキャブラリーを増やす練習法に触れます。

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著者によっては、音読を強く推奨したり、多読に力点をおいたり、一つの映画をくりかえし見てシャドウイングをするなど、主たる練習項目に違いがありますが、
共通しているところは、文法にほとんど触れない点と、
練習の最終目的が「英語で考える」という境地です。

この三番目の方法が、会話能修得の本道であるのですが、日本では少数派です。
かなり増えてきてはおりますが、Bの「英語で考えるのは不可能」派に付き従う読者がいまだに多いのです。
Bについては、縷々批判してまいりました山本大センセの『英会話の正体』がその一例でした。

一方、多くの英語(会話)本とは別に、昔から各種の音声教材が出回っています。
前世紀までは、TBSブリタニカが、大部なテキストとカセットテープのセット教材を販売していました。大変高価なセットなので、訪問セールスのみで流通され、一般書店では販売されませんでした。(今は、もう見る影もありません)

近年は、通信販売が主流です。
「聞きながすだけでペラペラに!」などというキャッチコピーと、
タレントやプロ・スポーツ選手をイメージ・キャラクターに、
ワケも分からぬ「英語不安」をカモにしようと毎週のように広告を打ちます。
かなり稼いでいるようで、大手新聞・全国雑誌に出稿する広告費だけで、一月三千万円は下りますまい。
ネットでニュースやブログを覗くと、その種の広告がいつもはりついています。勿論、日本国内向けの教材ですので、日本語の広告であります。
うっとうしいことこの上もありません。
例えば、

☆「スピード・ラーニング」とか、
アメリカ人言語学者、スコット・ペリーの開発した「リスニングパワー」とか、
☆「エブリデイ・イングリッシュ」とか、
よく見かけるでしょう。