あなたのコトバが あなたをだます/日本語道場2020

「漢字假名まじり文」の日本語をkeywordに私たちの社会の深層をさぐります。

E73/EIKAIWA ; Japanese poor environment on languages learning ;serial comment.

前回のブログで、
三種類の英語学習法について述べましたが、
イラナイ族の皆さまを含めて、
大半のザンネン派の方々は、2型の、ホンヤク派です。
そして、
毎日「日本語漬け」の生活を送っていらっしゃいます。

キュウキョク、
どうしても英語を身に付けたいのであれば、
留学するか、留学と同じ言語環境を身の回りに作れば、済むことです。
個人差がありますが、ちゃんと練習すれば、10ヶ月乃至20ヶ月で、ペラペラになります。
海外留学せずに、
日本にいたまま英語をモノにしたヒトは、一定の期間、英語漬けになっています。
そうでなければ、外国語の会話能力など、一生モノになりません。
イラナイ族ザンネン派の方々は、
たま~に英語のベンキョウらしきものをしながら、普段の生活は「日本語漬け」です。

○ワタクシの20年余りの(絵画教室)授業経験から、
最近は、以下のように確信しはじめております。

★「成人後の技芸習得には、母語の干渉が障害をなしている」
と言うモノですが、英会話能についても妥当することですので、
以下、少し長くなりますが、述べてみます。

○ワタクシが行っている講技は「油彩水彩」の写実具象画ですが、
実習現場では、
色彩描写に至る前に、スケッチ(素描)をしなければなりません。
一般的には、油彩の場合はキャンバス(画布)の上に、水彩の場合は水彩画紙に、
えのぐ乃至はエンピツで、線描するということになります。
このスケッチの段階で、人間は(誰しも)幼児期に刷り込まれた図像感覚で絵を画こうとします。あらゆるモノを、無意識に、象徴記号としてのソレゾレの図形で描こうとします。着色のときも同じく、子供のときに思い込んだ象徴色で塗り込めます。
家の屋根は台形。窓は長方形。ヒサシの奥は手前より上。コップの口は円、その底は平ら。人の目はアーモンド形、鼻の穴は丸。
山はミドリ。木の幹は茶色。雲は白、その暗がりは灰色。人の肌は肌色。ニンジンは朱色。
これらは皆、記号です。実際の形と色はもっと微妙です。

細密な写実画を得意とするプロの画家でも、モチーフ(対象)を見ているときは、ドシロートとおなじです。ただ、経験上の自省がはたらくので、初級者のようなマチガイを避けることができるのです。

○対象を観察し、全体と細部のバランス、オブジェと空間の形状に注意して、個別具体的な特徴(見え方)に氣づくことができれば、正確なスケッチがおこせます。

誰もが、錯覚、見過ごし、見落とし、思い込みをします。
これらの不都合は、先入観としての象徴記号がコトバ(脳内言語)と強く結びついた記憶によっておこり、目の前のモノをあるがままに見えなくさせているのです。
職業画家はこれを避けるために、筆かざし・デスケル当てを一筆毎に励行しますが、初心者シロートはしません。自分は目が見えている、と信じて疑わないからです。
それゆえ、いつもスケッチの図像が崩れています。
挙句に、自分には絵の才能がないと思い込んでしまうのです。
見比べ、氣づき、見極め、見分け、感得が出来ていないのを知らずに、
絵が上手く画ける者には「才能」や「生まれつきの器用さ」があるから、などと決めつけるのです。二重のカンチガイをしてしまいます。
このレベルまでの脳内言語による障害は、自覚して矯正することができますが、
世の中には、さらに悲惨な障害に自らを追いやっている方がいらっしゃいます。

○それは、心構えが後ろ向きの方です。
そういった方は、いつもの言葉遣い口グセがマイナス志向なので、すぐにわかります。
二言三言しゃべれば
「むつかしい」
「(どう描いていいか)わからない」
「私には才能がない」
「絵心がない」
などと、練習をしないで弁解やグチを口癖にしています。あたかも、そう言っておけば、まずく画いても許される、と予防線を張るように。

こういったマイナスイメージのコトバをいつも思い浮かべたり発言したりするヒトの「心性」の根っこには、
「学習性無力感」というモノがあります。
○学習性無力感とは、専門的には
「長期にわたり、抵抗や回避の困難なストレスと抑圧の下に置かれた者は、その状況から『何をしても意味がない』ということを学習し、逃れようとする努力すら行わなくなる」というものであります。
この「学習性無力感」にとらわれたヒトは、口では、「これこれの力を身に付けたい」「上手くなりたい」と言っていても、練習に集中しません。いつも、先生の助言(正解)を待っているだけです。

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この練習姿勢が、英会話の練習でも現れるヒトが、日本では沢山いるのです。
日本語特有の文字表記に関わる言語環境と、日本社会特有の人間関係とがあいまって、
他の民族国民に比べて、外国語会話がへたなのです。
🎌英会話と英語に対する、日本人だけの三重障壁
一、漢字カナ混じり表記の日本語環境。
・英文和訳と文法学。英和辞典にしがみつく翻訳癖。
・カタカナ発音で、リスニング障害。「コトバとは音声である」ことの基本が理解されていない。「文字(漢字)に意味がある」と思っている。
・音読にとりかかる初期段階で、フォニックスをやらない。ナチュラル・スピードでの連音が聞き取れず、発音できない。

二、学習性無力感の悪循環。
・マイナスイメージのコトバ癖を常用して、知能技能を低下させている。
・動機(意欲)の強さを上まわる無力感。
・無力感によって、訓練に期待できない。続けられない。記憶力を弱める。

三、人見知り、縦社会の上下関係。
・人間関係の序列意識が強固。水平感覚の欠如。特に、組織内の中間管理職は、ファーストネームで呼ばれるのを極度に嫌がる。
・相手の目を見ないで話す。目をそらす。
・間違いを恐れる。
「間違ってはダメだ」というセンセもいる。(『英会話の正体』)
・極度の緊張。気持ちに余裕がないので、簡単なジョークも言えない。
初対面の相手には沈黙。